今回は社労士業務に必須な社労士ソフトと給料計算ソフトについて記載します。
いまの時代一つの社労士事務所で複数のソフトを使用している事務所が多いと思います。
弊社(名古屋社会保険労務士法人)でもメインはセルズの台帳とセルズ給与、そしてお客様の要望もありフリー人事労務も使用しています。
以前は社労夢も使っていましたし、オフィスステーションやスマートHRも導入を検討したこともあり、そこそこ社労士ソフトに詳しいと自負していますので、社労士ソフトごとの感想を記載します。
正直なところいろいろな社労士ソフトを使ってみて思うのはどこも一長一短で、どのソフトが一番いいかすすめするには決定打に欠けます。「何を重視するのか、何はなくてむいいのか」という観点で選ぶ必要があります。
〇はプラス面、×はマイナス面です。
■セルズ台帳と給与
〇社労士事務所側からすると使いやすい
〇料金が安い
〇ほとんどの業務が電子申請可能
×クラウドでない(一部クラウド対応)
セルズは社労士事務所が作っているだけあり使いやすいです。これは他のソフトを使ってみてよく感じました。
電子申請もほぼすべての手続きに対応しており電子申請で不満を感じることは他のソフトより少ないです。最近は労基署の36協定も電子申請に対応しています。これで電子申請できる業務はほぼすべて電子申請ができるようになりました。
社労士事務所側からするととても使いやすいセルズですが、一方ですべてがクラウドでないためいまだに「雇用保険番号をおしえてほしい」や「離職票の送付先住所はこちらでいいですか?」のような初歩的なやりとりに時間が使われているのがマイナス点です。
一応セルズもクラウドで社労士側の手続き情報(雇用保険被保険者番号や基礎年金番号など)は関与先側でも見ることはでき、弊社もパスワードなど送っていますがほとんど使われていません。関与先からすると見にくいからなのか、わざわざログインして探すのが手間なのか分からないですがフリーと比較すると使われていない印象です。
■社労夢
〇勤怠、社会保険手続き、給料計算、給料明細が一つでできる
〇クラウド対応
〇事務組合に対応
×画面が見づらく使いにくい
社労夢についてはこちらに詳しく記載しています。
開業当初セルズを使っていて社労夢に変更しましたが使い勝手が悪くあまり使いませんでした。コンセプトである一つのソフトで勤怠、手続き、給料計算、給料明細ができるのは使いこなすことができればメリットの一つだと思いますが、実際に使ってみるとすべて2流といった感じで勤怠ならジョブカンやタッチオンタイム、給料計算ならセルズ給与の方が使いやすかった感じです。
■フリー人事労務
〇クラウド対応
〇パソコンに慣れていない初心者でも使いやすい
〇会計事務所とつながることで源泉所得税や年末調整も対応
×対応していない社会保険の手続き業務が多い
×業務中にアンケートが表示される
×電話での質問は別料金1週間後。原則はチャットで質問のため急ぎの質問はできない
×初期設定が必要。これが結構複雑
フリーを初めて使ったときは衝撃を受けました。
もし日本中の会社がフリーを使用すると社労士の社会保険の加入・喪失や税理士の年末調整・源泉所得税の納付なんかは依頼するまでもなく簡単に社内でできてしまいますし、何よりもゲーム感覚で入力できるのでパソコンアレルギーがある人にも使いやすいと思います。ただし社内に1人でもパソコンやスマホアレルギーの人がいるとその人は「別の方法で」となるため、比較的若い従業員だけの会社でないと全員の導入は難しいかもしれません。
セルズが「社労士事務所に使いやすいソフト」だとするとフリーは「パソコンが苦手な中小企業の社長や総務担当者にとって使いやすいソフト」といった感じです。
×で挙げた電話対応についてですが、電話対応を希望する場合は年間4万円程度必要です。
またもし電話対応プランにしても電話はすぐにできるわけでなく、1週間以上先の予定日を予約する仕組みのため急ぎでの回答は間に合いません。
とくにフリー導入時は3カ月程度は他のソフトと併用して慣らすことが必要になると思います。
今後予想されるソフトの値上げについて
社労夢のエムケイシステム(3910)、フリー(4478)は上場していますが、エムケイシステムはランサムウェアにより、フリーは上場以来赤字のため今後どちらも料金は大幅に上がると思います。
社労夢は2023年12月から値上げしていますが、今後も値上げが続くと思います。
→社労士の需要について
→1人社会保険労務士法人の設立について
→社労士の職務上請求の方法