最終更新日 2025年2月18日
今年に入ってインフラファンドが弱いですね。
インフラファンドは現在
・いちごグリーンインフラ投資法人(9282)
・カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(9284)
・東京インフラ・エネルギー投資法人(9285)
・エネクス・インフラ投資法人(9286)
・ジャパン・インフラファンド投資法人(9287)
の5銘柄が上場していて、私はいちごグリーンインフラ投資法人以外の4銘柄を保有しています。
→2024年に受領した配当金
いちごグリーンインフラ投資法人については他のインフラファンドと違い
・分配金が6月の年1回である点
・時価総額が56億と5社の中で一番小さい
・すでにインフラファンドの投資割合が大きい
ため購入予定はありません。
■インフラファンド用語
※インフラファンドとは、再生可能エネルギーに投資している投資信託のこと。実際はほぼ太陽光への投資です。
※FITとは、再生可能エネルギーを用いて発電された電気を国が定める価格で買い取る制度のこと
※FIPとは、FIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、市場に再エネ電気を供給したときに売買価格に対して一定のプレミアムを上乗せすること。
※コーポレートPPAとは、FITと異なり電力会社ではなく、直接企業に電気を売ること。最近「弊社で使われる電力は100%再生可能エネルギー電力です」などアパールする会社が増えまし今後も増える予定。ただし買取価格はFITの固定買取よりも下がる傾向。
※出力制御とは、電気の需要が少ないときに発電量を一時的に制御、停止する制度。インフラファンド側からすると売電できないため売上が減少する。
※再エネ賦課金とは、再エネの普及のため電気使用者から電気料金に上乗せして徴収。2024年度は2,6兆円程度見込み。
今回、決算動画と決算補足資料を見て私が感じたインフラファンドのデメリットについて記載していきます。
インフラファンドは現在、分配金利回りが10%ちかくありますが、リスクも考えて投資してほしいと思います。
■インフレに弱い点
いまインフレですが、太陽光の買取価格は固定金額のため相対的に魅力が薄れる点。
同じ利回り商品のJ-REITも今年ずっと下げています。
J-REITは更新時に家賃の増額交渉も可能ですが、インフラファンドはずっと買取価格は固定のため、J-REITより下げている印象です。
→2025年NISAで購入したJ-REIT
■出力制御が増えている点
九州、四国、中国地方の1月から6月を中心に電気が余っていて発電しても買取されない点。
これは九州、四国、中国地方に太陽光発電所が多いインフラファンドについてはマイナスです。
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人(九州6割)と東京インフラ・エネルギー投資法人は九州の多めのため出力制御の影響を受けやすく、ジャパン・インフラファンド投資法人(九州15%)エネクス・インフラ投資法人(九州は1%)は九州の太陽光発電所は少なめのため影響は少ないと思われます。
一方で関東地方や中部地方は出力制御は少ないようです。
よくインフラファンドは「景気の動向を受けないため収益が安定するのがメリット」と説明されることが多いですが、出力制御が今後も続くようだと安定的な収益とは言えなくなるかもしれないですね。
出力制御への対策としてインフラファンド側にできることは、政府へ要望するくらいしかできないため今後どうなるかは不透明です。
また蓄電器をつけることで出力制御を減らすという案もあるみたいです。
(追記)
出力制御は1月から6月が多いという報告が記載されていましたが、2024年は10月も出力制御が多くカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は予想発電量の76%、東京インフラ・エネルギー投資法人は80%、ジャパン・インフラファンド投資法人は83%しか発電できていません。(2024年11月21日)
■ケーブル盗難について
最近ケーブルの盗難が増えていて、1回盗難被害にあうと保険を使っても1000万円程度赤字になるようです。
またケーブル盗難対策のためセキュリティー費用も増えていて、利益を圧迫していることもインフラファンドにとってはマイナスです。
■FIT終了後が不透明である点
現在インフラファンドはほぼ太陽光発電ですが、太陽光発電に関しては固定買取が20年なのでその後の運営方法が不明な点。
インフラファンドはFIT終了後に廃業するわけではなく営業を続くことを前提としていますが、FIT終了後はビジネスモデルが大きく変わることが確実です。
今からインフラファンドを購入する方はFIT後を見据えて
①非太陽光の水力、風力、バイオマス
②電力会社に売却ではなく民間企業に売却
などをいかに増やすことができるかがポイントと思います。
■法人税の免税期間は20年間(同管制要件)
インフラファンドはJ-REITと同じく利益の9割を分配金に回すことで法人税が免除になりますが、J-REITと違いインフラファンドの法人税が免税になるのは上場してから20年間限定です。
このため20年超えたときに今のように分配金を出すことができるのかが分かりません。
また分配金を出せたとしても法人税を払う分、今よりも分配金は減ることが予想されますし、他の会社のように法人税を払うならインフラファンドを選択することも減ります。
法人税の免除についてはFIT終了後の運営と同じくらいインフラファンドにとってマイナスだと思います。
■大口が少ない点
決算補足資料にある「投資主状況」をみると、どのインフラファンドもスポンサー含めて大口の投資口が少なく、個人投資家の投資口割合が多いです。
投資口数比率だと
・カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は57%
・東京インフラ・エネルギー投資法人は記載なし
・エネクス・インフラ投資法人は75%
・ジャパン・インフラファンド投資法人は71%
が個人の保有する投資口で、J-REITと比較すると個人が多く保有しています。
またセイムボード出資(スポンサーが出資)している割合は
・カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人は14%
・東京インフラ・エネルギー投資法人は3、6%
・エネクス・インフラ投資法人は記載なし
・ジャパン・インフラファンド投資法人は1,3%
となっているためカナディアン・ソーラー・インフラ投資法人以外はメインスポンサーもあまり保有していないという認識でいいと思います。
インフラファンドまとめ
インフラファンドは法人税やFIT後の運営など政策に左右されることが大きいので将来の不確実性は高いです。
しかし、現在の10%ちかい利回りは魅力的なため、火事にかならない程度にポートフォリオにいれておきたいと思います。