2023年4月以降の申請よりキャリアアップ助成金の正社員化コースの申請で、噂レベルで不支給が多くなったという話を聞いていいましたが、とうとう私の周りの社労士のなかでも不支給になったという話を聞きましたので、今回はキャリアアップ助成金の正社員化コースで不支給になってしまったという事案を共有したいと思います。
(追記)他の都道府県の社労士に聞いたところ東京労働局だと申請のうち半分は支給決定、半分が不支給になっていると情報をいただきました。県によっては支給決定よりも不支給決定の方が多いところもあるみたいです。愛知労働局はおおよそ7割~8割が支給決定、2割~3割が不支給になっているとのことでです。(2023年11月20日情報)
念のためですが弊社(名古屋社会保険労務士法人)が申請した助成金で不支給になったことは今のところ1件もありません。
【不支給事案1】
正社員と非正規社員の定義があいまいだった!
就業規則の最初に「正社員とは」「非正規社員とは」とそれぞれの定義する箇所がありますが、ここの定義はものすごく厳しく見られます。
不支給になった事案は、もともと月給の契約社員の方の正社員転換でしたが、非正規の就業規則の定義に「非正規社員とは時給で働くもの」としか記載がなく今回申請する方が月給であったため非正規従業員と認められず不支給になりました。
今回のケースは、新規の会社で別の社労士が作成していた就業規則で助成金の申請をしたそうですが、助成金を申請する場合は、助成金に適応した就業規則に一新して申請するのも一案だと思いますし、私ならそうします。
似たような案件で、正社員と非正規社員の就業規則が一つで両方に対応している就業規則というのも不支給になりやすいです。手間や時間もかかりますが、今後は正社員と非正規社員の就業規則を別々に作成するのがお勧めです。
【不支給事案2】
給料票の給料額と違った!
会社によっては賃金規定に等級や詳細な給料額まで規定している会社があります。
例えば
A等級 20万円
B等級 21万円
C等級 22万円
など。
今回、不支給になったのはもともと20万円の契約社員の人が正社員転換後に3%の6000円を昇給させて20万6000円にしたところ、3%要件は満たしているものの、20万6000円の支払いだと賃金規定の正社員に認められないということで不支給になりました。
この会社は今までも同じ就業規則で申請していて、すでに5名ほど支給決定もされているようでしたが、今回は同じ就業規則で申請して不支給になりました。これについてはキャリアアップ助成金の支給要領やQ&Aにも明確に不支給になるという規定はありませんので、キャリアアップ助成金の審査が厳しくなっているということを象徴しているように思います。
私としては明確な規定がない以上、裁判してでも白黒はっきりした方がいいと知り合いの社労士にも伝えましたが、今まで申請した人も返金になるかもしれないという理由でこれで終わりになりそうです。
【不支給事案3】
残業代が未払いだった!
これは愛知労働局の申請ではなく、三重労働局での申請になります。
三重労働局は残業代未払いにとても厳しいようで、未払いがった場合や残業代計算の単価が違っていただけでも不支給になることもあるようです。
愛知労働局の場合は、もし残業代の未払いがあり審査のときに指摘しれれば差額を支払うことで助成金も審査もすすむため都道府県の労働局で対応が違ってくるみたいです。
今回はキャリアアップ助成金の正社員化コースで不支給になった事例を3件ご紹介いたしましたが、やはり私の感想としても審査が厳しくなっているような印象をもちます。
例えば不支給事例2だと今までだと申立書を書けば問題なく支給決定されていたような案件ですが、今は申立書の存在もなくなっているようです。
今後もどんどん不支給の案件が出てくると思いますし、もしかすると弊社が申請代行したキャリアアップ助成金が不支給になることもでてくるかもしれません。そのときはまたこちらのブログでご紹介します。