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雇用調整助成金の不正受給について

雇用調整助成金(雇調金)と緊急雇用安定助成金(緊安金)の不正受給について解説していきます。
最近ニュースでも毎日のように不正受給した会社が公表されていますが、今後もコロナ禍が終わり申請した会社への調査が増えることが予想されるため、不正受給の公表も増えると思います。今回は雇用保険の加入者が対象の雇用調整助成金と雇用保険に加入していない人が対象の緊急雇用安定助成金の不正受給について解説します。

緊急雇用安定助成金については令和5年3月31日に制度が終了、雇用調整助成金の特例も令和5年3月31日で終了。今まで雇用調整助成金を申請した会社は1年間申請できなくなるため令和5年4月から雇用調整助成金を申請できる会社はほとんどないと思います。事実上、雇用調整助成金も令和5年3月末で終了ということになり、今後は今まで雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の審査をしていた方も調査の担当になるようです。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金は会社の責任で申請する助成金で、従業員が申請する休業支援金についても今後調査が本格的になっていく予定で、こちらも多くの不正が見つかると思います。


(追記)こちらの記事は作成してから1カ月たってないですがめちゃくちゃ読まれています(とくに深夜の時間帯)。それだけ不正をしていた会社が多いのでしょうか

コロナ特例の雇用調整助成金は2023年8月現在、累計で6,4兆円が支給されています。不正受給は少なくとも338億円で回収できたのは227億円になっています(日経新聞より)

雇用調整助成金の調査について

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の調査対象は申請したすべての会社です!

また支給申請してから5年間が調査対象期間です!


雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の調査は各都道府県の労働局が行います。
調査の内容ですが大きく二つのことを確認されます。
・実際に休業しているかどうか
・給料を払っているかどうか
この2点を確認するために
・提出したタイムカードや給料明細の確認→提出したものと同じかどうか確認
・銀行の通帳や現金支払いの場合は従業員の受領書サインの確認で給料の支払いを確認
・決算書で売上や給料の支払いが一致するかを確認
・従業員に休業していたか、給料が払われていたかを直接聞いて確認(退職している人も電話で聞きます)
 

これは私が直接労働局の方に聞いた話ですが
・受給額が合計1億円を超えている会社
・会社設立が2020年4月以降で、助成金の受給額が多い会社
・緊急雇用安定助成金のみ申請している会社
・1年以上1日も出勤していない人がいる会社
・外国人が社長の会社
・休業中に研修をして上乗せで助成金を受給している会社

上記に複数あてはまる会社は調査の確率が高いようです。
実際にこれまで私が申請した会社で調査があった会社もこの中に要件に複数あてはまります。

・緊急雇用安定助成金については従業員の名前だけで助成金の申請ができてしまっていたため不正に申請している会社は相当多いと思います。例えば緊急雇用安定助成金は知り合いや退職者の名前を記入したり、もしかすると存在していない人の名前を記入して申請している会社も多いと思います。その場合は住民票などで実在している人物かを証明するなど調査になるはずです。
・外国人が社長の会社ですが、助成金はタイムカードや給料明細の知識も必要ですがおそらくよく分からずに申請している会社が多いのではないかと予想しています。実際に今まで不正が公表された会社は外国人が社長の割合が多い印象です。

 

また労働局は各都道府県単位のため調査の確立が高い都道府県と低い都道府県がどうしてもできていまいます。ちなみに愛知県は会社数が多いためか、私が申請した会社で調査があった会社は1社あっただけでした。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金が調査対象になる期間は5年間ですが、2023年と2024年は調査が集中すると思います。

雇用調整助成金の不正事例

雇用調整助成金も緊急雇用安定助成金も「出勤日に休業しました」「給料を払いました」と制度そのものは簡単なため、ふつうは間違いで申請してしまうことはありません。不正の対象になることは

1,休業していないのに休業したと偽り申請する
これが実際のところ一番多いと思います。タイムカードを変更するだけなので不正も簡単です。

2,給料を払っていないのに払ったと申請
給料を支払うことが助成金の条件ですが、給料を支払っていないのも関わらず払ったようにして申請したり、給料を全額払ってないのに払ったようにして申請するのが不正になります。


3,実際にはいない従業員を申請
こちらはすでに退職している従業員や緊急雇用安定助成金の方は名前のみで申請できるため実際には雇用していない従業員を申請した場合が不正になります。

4,社労士が勝手に助成金を申請
最近、複数回聞いた話になりますが会社が知らないところで社労士が出勤簿などを作成して助成金を社労士が勝手に申請していた会社もあるみたいです。もちろん社労士が従業員の出勤情報を知っているわけではありませんし、タイムカードや出勤簿は会社に作成義務があるため、こちらも不正受給になります。この場合は社労士に責任があることは間違いないですが、心当たりがある会社は労働局に連絡して返金した方がいいと思います。また各都道府県にある社労士会にも連絡すると、その社労士は懲戒になると思います。

上記にも記載していますが助成金で申請した出勤簿やタイムカードは調査があったときは必ず原本を確認されますし、5年間は保管が必要です。

もちろん弊社が雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を申請した会社で、弊社で出勤簿やタイムカードを作成して申請した会社はありませんが、会社や従業員の印鑑が必要なくなったこともあり社労士が勝手に申請したということも多そうです。

5,研修をやっていない会社
雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金中に研修をすると上乗せがあったため研修で申請しているが研修を実際にはやっていない会社。

また細かいですが不正の対象になることに

・退職が決まっている人を申請した
・有給休暇(有給)を使った人を休業で申請した
・コロナ陽性の人を休業で申請した(陰性の人は助成金の対象)
・産前産後休業や育児休業で休業している人を雇用調整助成金で申請した
・病気休業を傷病手当金でなく雇用調整助成金で申請した
・外国人従業員の帰国中を休業で申請した

なども雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の不正の対象となります。
(追記)令和5年5月2日付で広島労働局より有給休暇を使用したのに休業として申請した会社が不正受給と認定され全額返還、不正の公表がされています。

またたまに質問されることが休業中の人が旅行したり遊びに行くことは不正になるかどうかですが休業中に何をするのかは従業員の自由のため雇用調整助成金の不正にはなりません。

 

助成金の不正はなぜバレるのか

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の不正がなぜ見つかるのかという統計があるわけではないので、あくまで私の推測になりますが大きく理由は2つあると思います。

1,従業員からの通報(おそらくこちらが7割程度)
不正を知っている従業員、もしくは全く知らない従業員が不正受給に気づいたり、退職してから都道府県の労働局に通報するのが一番多いと思います。不正を知っている従業員や退職者は不正の証拠も持っていると思いますので調査は簡単です。
私のところにもこのブログを見てすでに3件どうすればいいか相談がありました。
(ただ私に相談されても何もできないので、直接労働局に相談した方がいいです!)


2,申請のときからあやしまれていた
助成金申請のときはコロナ禍で資金ぶりが苦しい会社が多く、とにかく審査の正確性よりも入金スピードが重視されていたので、審査の時に本当かどうかあやしい申請もとりあえず支払われていました。助成金の申請のときに提出するのはタイムカードと賃金台帳ですがふだんからタイムカードや賃金台帳を見ている社労士の私や労働局の審査担当者も見ただけで怪しい会社はマークされていて、いま実際に調査で見つかるパターンです。

実際にこの3年間で私が雇用調整助成金のスポッ依頼があった会社であやしい会社は10社以上お断りいたしました。お断りしたのでその会社がその後申請したのかしていないのか分かりませんが、もし申請していると今ごろ調査で不正が発覚しているころだと思います。

不正の公表について

  雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を不正受給した場合に公表されるかどうかは実のところ明確な基準があるわけではなく、各都道府県の労働局のスタンスで違ってくるようです。

新聞報道によると
・労働局の発覚前に自主返納した場合は公表しない
・労働局の調査で発覚した場合は公表
となっているようですが、公表されるかどうかは返還するかどうかが大きいようです。

逮捕されるかどかも私から見ていても基準があるわけではなく不明です。


また不正受給が認定されると助成金は返還になりますが、不正した従業員の金額のみ返還というわけではなく、不正が認定された月以降はすべて返還の対象になります。ですので2020年7月に不正が認定された場合はそれ以降の金額がすべて返還となるため金額が想像以上に大きくなると思います。

ちなみにですが雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を不正した会社については各都道府県の労働局のホームページにある「報道発表資料」から確認することができます。最近は不正が発表されてもテレビや新聞のニュースになることも減っています。

(追記)令和5年3月22日に愛知労働局のホームページで不正受給した6社が公表されていますがニュースにもなっていません。
愛知労働局の不正公表ページ

愛知労働局の不正公表ページ(令和5年度)

神奈川労働局の不正公表ページ

北海道労働局の不正公表ページ

埼玉労働局の不正公表ページ

福岡労働局の不正公表ページ

東京労働局の不正公表ページ   

愛媛労働局の不正公表ページ

三重労働局の不正公表ページ

宮城労働局の不正公表ページ

岡山労働局の不正公表ページ

佐賀労働局の不正公表ページ 

宮崎労働局の不正公表ページ

 

(追記)
令和5年4月より雇用調整助成金の不正受給の公表について基準が示されました。
1,不正が100万円以上は原則公表。ただし事前に不正受給を事前に自主申告を行い、かつ、1カ月で全額返還した場合で悪質でないと認めらる場合は公表しない。
2,不正が100万未満は原則非公表。ただし悪質な場合は公表
3,社会保険労務士や代理人が不正に関与した場合は金額や返還の有無にかかわらず公表。

不正の通報先

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の通報先は各都道府県の労働局になります。
例えば愛知県の会社や従業員の方だと通報する場合は愛知労働局の雇用調整助成金担当部署になります。不正の内部告発は匿名でもできます。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の罰則は会社だけでなく、不正を知っていた従業員も対象になります。不正に関わった人、関わってないけど不正したのを知っている人も早めに各都道府県の労働局に連絡したほうがいいと思います。

不正受給を匿名で通報したいので方法を教えてほしい?

会社所在地の労働局に連絡してください。

雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金の通報先は、各都道府県の労働局になります。

匿名で電話をしても可能ですが、電話も難しい場合は郵送でも可能です。
通報するときは会社名(元勤務先)は必須で、どんな不正があったのかを伝えるようにしましょう。

話が具体的であればあるほど労働局も調査がしやすいです。労働局に匿名で電話や郵送しても迷惑がられることはないのでどんどん通報するのがいいと思います。

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